ホームページの各部門には書ききれなかったお話、こぼれ話を「阿部工務店のおはなし」として、こちらに記載します。ご一読いただき、「ああ、阿部工務店はこんなところなんだな…」、「こういう気持ちを大切にしている会社なんだ…」と思ってもらえたら私たちは嬉しく思います。
長年にわたる匠の技と心意気を代々受け継いでいます。
地元の皆さまにお世話になりながら、阿部工務店はお陰様で会社として50年の歴史を持っています。
大工一族の血を引いた阿部菊夫(現取締役社長の祖父)は、焼津市で阿部建築設計事務所を立ち上げました。
菊夫は建築士でもあり大工でもありました。この設計事務所には焼津市内の工務店や多数の大工さん達が出入りしていました。
菊夫は一般住宅建築にとどまらず、寺社仏閣なども設計していました。
阿部安博(現取締役社長の父)は、昭和15年に生まれ、大工として腕をふるい24歳で一人親方として独立。
昭和46年8月1日31歳の時、妻 己笑子と共に焼津市禰宜島にて阿部工務店を創業しました。
見積、設計はもちろん現場では大工棟梁もしていました。その後、社屋を焼津市道原に移転し、平成元年に株式会社化し、社名を株式会社阿部工務店にしました。
阿部高之(取締役社長)は、設計事務所で修行を積んだ後、平成10年に株式会社阿部工務店に入社し、令和元年に取締役社長に就任しました。
1級建築士、1級建築施工管理技士・監理技術者、福祉住環境コーディネーター2級、土木施工管理技士2級の資格を活かして長年にわたる匠の技と
心意気をそのままに、ひとつひとつ丁寧にお客さまのご要望にお応えしています。
阿部工務店レポート
50年の歴史を持つ阿部工務店にお邪魔し、阿部社長におはなしをお聞きしました。
自社の木材加工工場がありました。
事務所の南側に小学校の体育館くらいの大きさの木材加工工場があります。
昭和の時代から大切に使われてきた専門の機材が整然と並んでいて、年季の入った工具、ウィンチやトロッコのレールも残っています。
木を切り出した時に出るおがくずを自動で袋に溜める機械もあり、おがくずが必要な人に引取ってもらっているそうです。
材木屋さんから購入してきた材木を豊富に保管しています。
「天然の木は1つとして同じものがありません。その大切な木を育ててくれる山や川などの自然環境のことが、常に胸にあります。」と社長。
大切な材料を無駄にしないように、注文を受けてから、洋風の建物にはナラやタモ、和風の建物にはスギやヒノキなどのサイズを測り、切り出し、
そしてそのあと職人さんが丁寧に鉋をかけて、敷居や鴨居、建具の枠などの細かい部材に仕上げ、現場に運び取り付けるそうです。
加工工場内の右手には、屋久島の杉、静岡県で育った木などの廃材を使った手作りトイレがありました。
倉庫には職人の宝物の道具が並んでいました。
倉庫には、年季の入った道具が所狭しと並んでいました。
職人の思い入れのある道具は宝物。
大工さんの名前が書かれた専用の道具も見つけることができました。
「同じような道具をまた買ってきたよ、と思うんだけど、きっと何かが違うんだろうねぇ」と目を細くする社長。
「会社をたたむから道具を引取ってくれないか」と声を掛けられると、会長が「そうかい。いいよ。」と道具を引き継ぎ、古い道具がますます増えていくそうです。
倉庫には、積み重ねられたノウハウと一緒に、愛着ある道具が残っていきます。
また、倉庫の横には会長と長年一緒に仕事をしてきた、相棒のユンボがありました。社長が幼い頃からそこにあったそうです。キャタピラが鉄でできている旧式のユンボなので、ユンボを動かす時は社内のアスファルトを削らないようにゴムシートを敷かなければならないそうです。
先日ユンボの調子が悪くなり部品交換をしてもらいましたが、すでに部品が欠品。
メーカーさんが他の部品を調達してなんとか動くようになりましたが「もう次は勘弁して下さい」と音を上げていたそうです。
社長が「もうそろそろ捨てたいんだけど」と30回くらい言っていますが、会長は首をたてに振りません。使い続けた道具に思い入れが宿る。共に働いた相棒を大切にする気持ちは職人なら皆わかるのです。
「手の仕事」を大切にしていました。
テツヤさんは、中学を卒業後すぐに阿部工務店に入社した一筋55年の大工さん。仕事は鉋(カンナ)かけに現れます。
テツヤさんがさーっと鉋をかけると、とても薄いふわふわの削り節のようなかんなくずになります。
「僕がやるとこうはいかない。大工さんの道具を適当に使うと『お前使っただろ』ってすぐバレちゃうんだよね」と笑う社長。
テツヤさんの削った木は、顔が映るくらいつやつやで、触るとすべすべしてとても気持ちがいいのです。
社長は「大工さんは、自分の道具は自分持ち。毎日道具を丁寧に手入れしているからね」と言います。
撮影用にカンナかけをお願いし、魔法のように綺麗にカンナをかけ終わったテツヤさんは、照れくさそうに使い終えた鉋をそっと大切に布にくるみました。
木材の加工品を受注生産いたします。
広々とした加工工場では、ミリ単位で木材をカットできるので大きな窓枠や格子飾りなどを受注生産することができ、テーブルやイスなどの家具や小物も加工することがでるそうです。
ご近所にお住まいの大工さんたちに「プロが使う工作室」として木材加工の場を提供してきたいと考えているそうです。
機材が揃う工場で自由自在に木材をカットできるので、オリジナルで細工をしたい、パーツをつくりたいという大工さんにぴったりです。
「加工工場を色々な大工さんに自由に使ってもらえれば、切磋琢磨の場にもなるし、技術の継承や地域の活性化にもつながるかなぁと考えています。
将来的には、オリジナルで椅子をつくったり、余った木で薪をつくったり……。お客さまに喜んでもらえるように、自分たちができることをしてみたいのです。」と社長は夢を語ります。